映像から追加で分かったこと
この動画は自動生成の字幕データがかなり粗く(早口の対談のため聞き取り誤りが多い)、そのままでは内容の把握が難しかった。 そこで映像フレームを約3分おきに抜き出して確認したところ、動画には手動で編集されたテロップ(画面焼き込み字幕)が全編に入っており、自動字幕より正確に要点を追えることが分かった。以下は映像確認で新たに得られた情報。
① 全編共通のタイトルテロップ
画面左上に「属人のAI出力精度の高め方」という見出しが全編に固定表示されており、この動画の一貫したテーマであることが確認できた。
② 登場人物の氏名はテロップで確認
自動字幕では「けさん」等に誤変換されていた名前が、テロップでは「黒瀬さんの脳を全部AI化したい」と正確に表示されており、飲食店専門家の氏名が黒瀬さんであると確認できた。
③ 黒瀬さんは本編の出演者ではない
黒瀬さんは対談中に語られる第三者の専門家(飲食店の物件選定が得意な人物)であり、映像に映っている2名とは別人。本資料では映像・字幕から本人確認ができなかったため、2名は便宜上「解説役」「聞き手役」と表記する(下記アサイド参照)。
④ 収録はスライドなしの対談形式
図表・デモ画面は登場せず、終始2名の会話で進行する。そのため本資料の図解は、対談内容をもとにこちらで作成したものである。
なぜAIの出力は「80点」で止まりやすいのか
解説役は、マーケティング領域は属人性が非常に高い仕事だと話す。正しい手順(ワークフロー)をAIに教えて代わりに実行させれば、80〜85点程度の出力は再現できる。しかし、そこから先——「自分の名前や看板というブランドのフィルターを通したときに、これは出せない」という判断——は、AIに丸ごと任せることができない。結局、最後の仕上げは常に本人がやる作業として残ってしまう。
AIに「型」だけ教えれば、まずまずの成果物(80点くらい)はすぐ作れる。でも「これは自分のブランドとして出していいか」を判断する最後の仕上げは、結局いつも本人がやることになってしまう、という話。
さらに厄介なのは、この「80点の型」自体を固定化して他人に引き継げる形にすることも簡単ではない、という点だ。解説役自身、80点を安定して出せる型を作るまでに2〜3年かかったと振り返っている。
出力の質はどこで積み上がるか(対談内容をもとに作成した図)
AIに丸投げ
(型を教えない)
正しい型・手順を
AIに教えて実行
本人の経験を
蓄積したデータで補強
本人にしか
出せない仕上げ
→ この動画の主題は、80点から95点・100点への引き上げを、本人の手作業ではなく自動的な仕組みでどこまで再現できるか、という点にある。
100点にする実例——YouTube企画を外さない仕組み(4:00〜15:00頃)
解説役は自分の実務であるYouTube企画立案を例に説明する。すでに当たっている(再生数を伸ばしている)企画を分析し、そこにどんなペルソナが存在するかを洗い出す。視聴者がどんな情報に触れ、どんな行動をした結果いま何に悩んでいるか、次にどんな壁にぶつかりそうかまで想像できれば、その壁を先回りして解消するコンテンツを用意できる、という考え方だ。極端に言えば、ペルソナの気持ちが100%理解できていれば、企画は100発100中で当たるはずだという理論になる。
「なんとなく良さそうな企画」を作るのではなく、すでにヒットしている動画を見ている人がどんな人で、何に悩んでいるかを先に細かく想像してから企画を作る、という順番の話。想像の精度が上がるほど、企画が外れにくくなる。
サムネイルも毎回オリジナルで作り、視聴者の年代・視聴習慣(Z世代の見方の特徴など)に合わせて微調整するなど、80点の型を作るだけでも相応の作業量になる。この型をAIに代行させた段階でまず80点が出せるようになり、そこに本人のデータベース(後述)を掛け合わせることで95〜100点まで引き上げる、という流れになっている。
100点に届かせるために掛け合わせる4つの要素(対談内容をもとに作成した図)
データベース
ポジショントーク
キャラクター性
データベース
「壁打ち」を自動でナレッジデータベースに変える方法(12:00〜21:00頃)
ここが動画の核心となる仕組みの説明。解説役は、自分が日々こなしている壁打ち(相談・ブレインストーミング)のZoom通話を、AIが自動で文字起こしし、その内容をQ&A形式の知識の単位に自動で分解して、自分専用のナレッジデータベースに追加し続ける仕組みを日々の作業に組み込んでいる。これにより、手作業を増やすことなく毎日勝手にデータベースが育っていく。件数はすでに4,000件を超えている。
普段の相談・打ち合わせの音声を、AIが自動で文字にして「質問と答え」のカードのような形にバラし、貯めていく。自分でメモを取らなくても、話すたびに知識のストックが自動で増えていく仕組み、ということ。
新しい企画を考えるときは、蓄積されたナレッジの中から関連しそうな100〜200件を検索して参照し、AIに出力させる。これにより90〜95点、時には100点を超える——本人も意識していなかった視点まで含んだ——出力が得られることがある、と解説役は述べている。
日々の相談が知識に変わるまで(対談内容をもとに作成した図)
相談・壁打ち
文字起こし
自動で分解
データベースに追加
(現在4,000件超)
↺ この一連の流れが毎日自動で繰り返され、手作業を増やさずに知識が積み上がっていく
一方で、この方法には限界もある。相手(対談の聞き手役)が「このデータベースが本当に良い出来かどうかは、結局解説役本人がその場で判断しないと分からなくなる」と指摘しており、蓄積された知識の質を見極めるのに、結局は本人が関わり続ける必要がある、という課題も語られている。
黒瀬さんの「目利き」もデータベース化できるか(15:38〜21:00頃、特に18:24〜18:48)
この動画で 18:48前後(動画内テロップ確認) に登場する、特に丁寧に扱うべき部分がここ。解説役は、自分がYouTube企画で確立した「壁打ちを自動でナレッジ化する」方法が、他の専門家にも応用できるかを検討する具体例として、黒瀬さんという飲食店の物件選定の専門家を紹介する。
黒瀬さんは、不動産の物件情報サイトを一目見ただけで、その物件で飲食店を出したときに「勝てる・勝てない」を一瞬で判断できる、という人物。解説役自身は同じ物件を見ても判断がつかないが、黒瀬さんが運営する飲食店経営の学校に実際に参加してみたところ、その見極めの精度に強く感銘を受けたと述べている。例えば「契約期間5年ではリスクが残る」といった判断が、経験に基づいて次々と出てくるという。
黒瀬さんは「この物件で飲食店をやったらうまくいくかどうか」を、資料を見ただけでパッと言い当てられる専門家。解説役はその学校に通って、その判断力のすごさを実感した、という話。
ここで聞き手役が核心を突く質問をする。「黒瀬さんも、そういう壁打ちの機会がたくさんあるということですか?」——つまり、解説役が自分自身のZoom相談を自動でナレッジ化しているのと同じように、黒瀬さんにも日常的な相談・雑談の機会がたくさんあり、それを同じ方法で拾い上げられるのではないか、という問いだ。この質問こそが動画18:48前後の内容であり、今回特に丁寧に扱う部分にあたる。
解説役の回答はこうだ。黒瀬さんの場合、すでに飲食店経営のノウハウがある程度整理された状態にある(自身の学校で教えている内容として体系化されている)ため、ゼロから積み上げるのではなく「すでにある知識を吸い上げる」だけで済む部分が多い。加えて、
- 学校の講義そのものの中で、実際に具体的な物件・事例を扱う時間が一定ある
- 生徒と一緒にオフラインで実店舗を見に行く機会があり、そこでも有益な会話が生まれているはず
という2つの現場が、黒瀬さんにとっての「壁打ち」に相当する機会であり、これらを同様に自動で文字起こし・データベース化していくことができるのではないか、という提案がなされている。解説役は「今からでも早く始めた方がいい」と述べ、知識の蓄積は始めるのが早いほど有利だという考えを示している。
黒瀬さんの場合はもう教える内容がある程度まとまっているので、ゼロから知識を作る必要はなく、普段の講義や生徒との会話を録って自動でデータベース化するだけでも、同じ仕組みが作れそうだ、という話。
同じ「自動でナレッジ化する」方法を2つのケースで比べると
| 比較する観点 | 解説役(YouTube企画) | 黒瀬さん(飲食店の物件選定) |
|---|---|---|
| 知識の元になる場 | 毎日のZoom相談・壁打ち | 講義内の具体的事例+生徒との現地訪問 |
| 土台となる整理度 | ゼロから自分で積み上げてきた | 学校のカリキュラムとしてすでに一定整理済み |
| 今後やるべきこと | 継続して蓄積中(4,000件超) | 現場・講義の会話を録って吸い上げ始める |
| 共通する課題 | 蓄積したデータベースの質が良いかどうかは、結局本人が現場に居続けないと判断できない | |
なお、解説役は「僕の場合はもはやナレッジを貯めるために現場をやっている感覚だ」とも述べており、現場に居続けること自体が知識を増やすための行為になっている、という認識を示している(21:00頃)。
会話だけでなく外部データも掛け合わせる——不動産の立地選定(24:00〜27:00頃)
話はさらに発展し、黒瀬さんのようなケースでは、人との会話から得られる知識だけでなく、外部の公開データを組み合わせることでも同じ判断を自動化できるのではないか、という案が出される。具体的に挙がっているのは次のようなデータだ。
Googleマップの周辺情報
候補となる物件の周辺の人通り・施設状況を確認する
Instagramの反応の強さ
エリアごとに、どのお店の投稿がよく反応されているかを分析する
競合の集積状況
例えばラーメン店が多く集まる通りは、それだけ客の流れが見込めると推測できる
解説役は、すでに指定したエリアの新着物件情報が毎日自動で自分のチャットワーク(社内チャット)に届く仕組みを作っていると述べており、そこにこうした分析を組み合わせれば「この物件は狙える」という判断まで自動化できる、という見通しを示している。
人に話を聞いて知識をためるだけでなく、地図アプリやSNSの公開データも組み合わせれば、「この場所は良さそうだ」という判断をAIに手伝わせられそうだ、という話。
「質」「本質」をどう定義するか(27:00〜30:30頃)
ものづくりであれば、出来上がったモノの良し悪しはある程度客観的に判断できる。しかし、人の経験や勘のように「正解のない」ものに対して質の良し悪しを定義できる人は少ない、と2人は話す。適当な相談内容を無差別にデータベースへ放り込むだけでは、ノイズ(質の低い情報)が増えるだけになってしまう、という懸念も語られている。
さらに踏み込んで、たとえ自分の専門分野であっても、多くの人は本質にたどり着けていないのではないか、という指摘がある。仮に経験から「当てられる」人がいたとしても、それが単なる過去パターンの模倣(コピペ)に近いのであれば、根本的な理由を説明できておらず、他の場面に応用が効くスキル・手順・データベースにはならない、という考え方だ。
「なんとなく当たる」だけでは足りない。なぜ当たるのかを自分で説明できて初めて、その知識は他の場面でも使い回せる本物のノウハウになる、という話。逆に、理由を説明できないまま経験だけで判断している人は、実は思っているより多い。
✕ パターンの模倣にとどまる場合
- 経験的に「当たる」が、理由を説明できない
- 他分野・他人に応用できない
- データベース化しても汎用性のあるスキルにならない
○ 本質まで理解できている場合
- 「なぜその判断が正しいか」を筋道立てて説明できる
- 答えそのものが分からなくても、考え方の筋道を見れば信頼できると判断できる
- 他の場面にも応用が効く、汎用性のある手順・データベースになる
このため、質の良し悪しを見極める何らかの手順そのものが、今後の一つの標準的な考え方になっていくかもしれない、という見通しで議論は締めくくられている。
まとめ——仕組み化・自動化の相談は顧問業で受付中(31:00〜32:48)
終盤、解説役は自身の顧問サービスについて触れ、AI活用・マーケティングの仕組み化や自動化に関する相談は幅広く受けられるとした上で、現在は月あたり35件程度でほぼ限界に近い状態だが、感覚的には40件程度までは対応でき、今後2か月ほどかけて5〜6件ずつ枠を増やしていく見通しであると述べている。
顧問契約の受け入れ件数(発言ベース)
現在
約35件
当面の目安
約40件
全体を通じて語られているのは、「AIに丸投げした80点」ではなく「本人にしか出せない100点」を1発で出させるには、本人の経験・判断を日常業務の中から自動的に拾い上げ続ける仕組みが鍵になる、という一貫した考え方だ。そしてその仕組みは、YouTube企画のような自分自身の専門分野だけでなく、黒瀬さんの飲食店物件選定のような他人の専門知識にも、条件次第で応用できる可能性がある、という見通しで締めくくられている。